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SNSによる不当な引き抜きからフィリピン特定技能生を守る労務管理と法的な防衛策

Re.ing行政書士事務所

目次



1. はじめに:SNSを通じたフィリピン特定技能生の引き抜き問題と2026年の現状


特定技能制度は、技能実習制度とは異なり、同一職種内での「転籍(転職)」が認められています。

この仕組みを悪用し、他社で働く優秀なフィリピン人特定技能生に対して不当なアプローチをかけ、自社に引き抜こうとする悪質な仲介業者や企業の存在が表面化しています。

せっかく多大なコストと時間をかけて採用し、日本の現場に慣れてきた人材を突然失うことは、受け入れ企業にとって重大な損失です。


現在の採用市場におけるリスクの実態と、企業が講じるべき具体的な防衛策を解説します。



2. 悪質ブローカーの手口:FacebookやMessengerを悪用した好条件の提示


フィリピン人コミュニティにおける引き抜きの多くは、ハローワークなどの公的な求人媒体ではなく、FacebookやMessenger、TikTokといったSNS上で密かに行われています。


仲介を専門とする無許可の個人ブローカーや同国籍の知人が、求職中の体を装ってスタッフに接触します。

現在の給与体系や労働環境に対する不満を聞き出した上で、「今の会社よりも月給が数万円高い職場がある」「残業がもっと多い現場へ移れる」といった甘い言葉を提示し、転籍を促すのが典型的な手口です。

多くの場合、提示される条件には誇張や虚偽が含まれており、実際に転籍した後にスタッフ自身がトラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。



3. 強化された法的規制:不法就労助長罪の法定刑引き上げとブローカー排除の動き


こうした不当な引き抜きや無許可の職業紹介行為に対して、国も規制を強化しています。


関係法令の改正により、不法就労助長罪の法定刑が従来の「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」から「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金」へと引き上げられました。


また、将来的に運用が始まる育成就労制度に向けた方針においても、悪質なブローカーの介入を防ぐため、民間職業紹介事業者の関与を限定し、監理支援機関やハローワークなどの非営利機関にマッチングを制限する方向で調整が進んでいます。

企業側も、無許可の業者から人材の紹介を受けたり、引き抜き行為に加担したりすることは、深刻な法令違反となるリスクを正確に認識する必要があります。



4. 企業が取るべき労務的な防衛策:不満の早期解消と帰属意識を高めるコミュニケーション


悪質な引き抜きから人材を守る最も有効な防衛策は、スタッフが他社に関心を持つ隙を与えない雇用環境の構築です。


引き抜きに応じる動機の多くは、給与額の多寡だけでなく、現場での人間関係の孤立や、労働時間に対する事前の説明とのギャップにあります。


定期的な面談を通じて、本人が抱える業務上の不安や、生活面での要望を早期に把握し、対応することが重要です。


また、現在の給与が地域の最低賃金や同業他社と比較して適正な水準にあるかを定期的に検証し、必要な手当の支給や処遇改善を行うことが、結果として確実な流出防止につながります。



5. 万が一引き抜きに遭った場合の対応:転籍手続きの確認と入管への適切な報告


対策を講じていても、本人が他社への転籍を決意し、退職を申し出てくる場合があります。


特定技能制度上、合意の上での退職と転籍の手続き自体を企業が無理に拒否することはできません。

ただし、退職に際しては、適切な引き継ぎ期間を設けることや、社宅の退去手続きなどを法令に則って進める必要があります。


企業側は、退職から14日以内に出入国在留管理局へ「特定技能所属機関に関する届出(契約終了)」を正確に提出しなければなりません。もし退職の背景に、無許可ブローカーによる不審な勧誘行為が認められる場合は、届出時に管轄の入管や地方出入国在留管理局の窓口へ情報提供を行うことが、自社の正当性を証明し、今後の受け入れ資格を維持するための適切な対応となります。




優秀なフィリピン人特定技能生の引き抜きを防ぐには、日頃の適正な労務管理と、万が一の際の正確な法務手続きが不可欠です。


Re.ing行政書士事務所は、最新の入管法や労働関係法令に基づき、外国人スタッフの定着率を高めるための就業規則の整備や、賃金体系のアドバイスを行っています。


不適切な引き抜きトラブルに直面した際のリスク管理や、入管への必要な報告手続きについても、専門的な知見から貴社を全面的にサポートいたします。


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